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荷主目線で考える3PL企業の選び方と賢い付き合い方

荷主目線で考える3PL企業の選び方と賢い付き合い方

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荷主目線で考える3PL企業の選び方と賢い付き合い方

物流業務を3PL(サードパーティロジスティクス)企業にアウトソーシングしているものの、「思ったより費用が下がらない」「サービス品質に不満がある」「急な変更に対応してもらえない」といった悩みを抱えていませんか?
多くの企業が3PL企業を選定する際、初期費用の安さやサービス内容の豊富さに注目しがちです。しかし、契約後に発生する想定外の作業、品質改善の為の追加費用など、期待していた効果を得られないケースが少なくありません。
契約が完了したら「以降はすべて任せられる」と安心したいところですが、3PL企業に依頼したからといって、そこで終わりではありません。継続的な改善と適切な関係構築こそが、真の費用削減と品質向上につながるのです。成功している企業の多くは、信頼できる3PL企業を見つけたあとも、単なる外注先ではなくビジネスパートナーとして捉え、積極的に関係を育んでいます。
そこで今回は、3PL企業の「選び方」と「効果的な付き合い方」をご紹介します。現在抱えている問題の解決策から、より良い関係を築くための具体的な方法まで、実践的なアドバイスをお伝えします。

【物流をアウトソーシングしている企業からよく聞く「不満」と「解決のポイント」】

3PL企業にアウトソーシングした際に発生しやすい問題点と、解決のポイントについてご紹介します。

不満1 <価格が思ったより下がらない>

価格が思ったより下がらない時に考えられる問題としては、事前の見積もりが甘いことや、コミュニケーション不足から見積もり外の付帯作業が発生していることが考えられます。
企業が経験するのが、当初の見積もりと実際の費用の差です。これは単に3PL企業だけの問題ではなく、発注時の作業内容の整理不足・コミュニケーション不足が原因となることが多いのです。

*解決のポイント
解決には作業内容の詳細な見直しと作業工数の削減が効果的です。
具体的には、現在の業務フローを一から見直し、(無くせないか)(一緒に出来ないか)(順番を変えられないか)(簡素化出来ないか)の視点で、必要な作業かどうかを検証することが大切です。長年続けている作業の中には、「前任者がやっていたから」や「以前から行っているから」などの理由で行われているが、実は不要になっているものも含まれているかもしれません。

不満2 <サービス品質が低い>

人の手が入って行われる作業では、誤出荷や遅延などが発生するすることはあります。問題はその先で、その場しのぎの対応のみしかされず、再発防止策が検討や、品質管理(QC)活動が十分にされていないといった問題が散見されます。
サービス品質の問題は、お客様への直接的な影響があるため、特に深刻な課題となります。誤出荷は商品の取り違えや数量ミスだけでなく、配送先の間違いなど様々な形で発生します。また、出荷遅延は在庫管理の不備や作業効率の低下が原因となることが多く、お客様からの信頼を失う要因となります。
さらに問題なのは、これらの問題が発生した際に、3PL企業が適切な原因分析を行わず、同様の問題が繰り返し発生することです。単発的な対応に終始し、根本的な改善に取り組まない姿勢は、長期的には大きな損失につながります。
不十分な品質管理も深刻な問題のひとつです。定期的な品質チェックや作業手順の見直しが行われていないと、小さな問題が積み重なって大きなトラブルに発展する可能性があります。

*解決のポイント
目標と期待値を明確に共有し、サービス品質の評価を定期的に実施することが重要です。
3PL企業との間で、何をどのレベルで達成したいのかを明確に示し、継続的に評価するようにしましょう。曖昧な指示では、期待する成果は得られません。具体的な数値目標を設定し、達成度を測定できる仕組みを構築することが望ましいです。

不満3 <トラブルに対応をしてもらえない>

人的余裕のなさやコミュニケーション不足が主な原因となっています。
多くの3PL企業は収益化のため、効率化を重視し最小限の人員で運営していることが多いです。そのため、急な出荷量の増加や特別な作業依頼があっても、対応できる人員が不足している状況が発生します。また、事前の情報共有が不十分なため、3PL企業側も準備ができないまま急な要求に対応せざるを得ない状況も生じます。
さらに、契約内容が基本的な業務のみに限定されているため、イレギュラーな作業については別途費用が発生したり、対応そのものを断られたりするケースもあります。
この問題はコスト削減を望む荷主、その中で利益の確保を目指す3PL企業、どちらにも言分があるため構造的に発生し易い問題です。

*解決のポイント
透明性のあるコミュニケーション体制の構築と定期的な情報共有の場の設定が効果的です。
急な出荷増加や特別な作業依頼に対応してもらうには、日常的なコミュニケーションの継続が欠かせません。定期的な打ち合わせなどで、今後の事業予定や季節変動の見込みを共有することが相互理解を即し、3PL企業側も事前準備がしやすくなります。

起こりがちな不満とその解決ポイントを挙げましたが、実際に解決策を実行するには予め3PL企業との協力体制が強固であるとスムーズです。事項では効果的に3PL企業と付き合う方法を紹介します。

【効果的な3PL企業との付き合い方】

3PL企業と良い関係を築き、物流を効率化するためのポイントを紹介します。

<今の方法がベストですか? ~継続的な改善活動を行う~>

3PL企業との契約は、締結した段階で完結するものではありません。市場や景況、商品ラインナップも刻々と変化します。付随する業務も変化しているはずですので、契約更新時だけでなく、半期または四半期ごとの定期的な見直しで最適化しましょう。3PL企業側で行うべきと考えられなくもないのですが、荷主企業の視点が入ることで効率化一辺倒になりがちな改善活動を、品質や安全性などの複数の視点から複層的に行うことができます。3PL企業の認識を再確認できるなど他の利点もありますので、一緒になって行うのがポイントです。

*改善活動時の確認ポイント
・月次・四半期ごとの業務レビュー(問題点や前回のレビューからの進捗確認など)
・費用対効果の確認
・新たな改善提案の検討
3PL企業の現場の声を積極的に聞き課題を把握すること、荷主企業側の想いの共有が大事です。

<今後の見通しなど 情報共有を十分に行う>

情報をオープンにすることが信頼につながります。3PL企業をただの「下請け」では無く「パートナー」とするには、必要な情報をきちんと共有しましょう。最低限の情報だけでは、3PL企業側も最適な提案ができません。

*共有すべき情報例
・事業計画と物流戦略
・繁忙期・イベント情報
・品質基準や許容範囲

事業計画を計画通りに進めるには、見合った物流戦略を立てる必要があるはずです。事前に情報を共有することで、3PL企業側としても先の見通しが効くようになります。そうすれば3PL企業も安心して在庫スペースや人員の確保に動くことが出来ます。逆に直前まで知らされず急に対応を迫られても、無理・無駄を産みやすく決して良い仕事には繋がらないでしょう。最悪の場合事業計画に支障をきたす事態に繋がり、相互不信の原因になることも考えられます。

<契約内容は定期的に見直す>

契約内容が3PL企業にとって一方的に有利になっていないか、また曖昧な表現が含まれていないか、運用していく中で不都合を感じた項目があれば、定期的に確認しましょう。

*見直すべきポイント
・作業範囲の明確化
・費用体系の透明性
・品質基準、責任範囲
・契約変更時の手続き

<評価とフィードバックを欠かさない>

3PL企業のパフォーマンスを客観的に評価し、問題点を互いに見える化することで、課題を明確にしましょう。

*評価すべきポイント例
・物流コスト
・配送品質(誤出荷・遅延)
・顧客満足度
・改善提案の質と量

*フィードバックのポイント
結果を共有し、共に改善策を検討する姿勢が求められます。一方的に評価を下すのでは対立的になってしまいがちなので、建設的に対話する姿勢を示した方が有効です。

【最適な3PL企業の選び方】

3PL企業の選定は、物流業務の成功を左右する重要な決断です。単に費用の安さだけで選ぶのではなく、自社の事業特性や将来の成長計画に適した企業を選ぶことが大切です。
この章では、最適な3PL企業の選び方・選ぶ視点をご紹介します。

<最適な3PL企業を選定する際の確認ポイント>

・業界、商品特性への理解度
食品、医薬品、アパレル、精密機器など、それぞれの業界の独特な要求事項に対応できる専門的な知識と経験を持つ企業を選びましょう。温度管理、賞味期限管理、取り扱い注意商品への対応など、業界特有のニーズを理解している企業を選ぶことで、品質向上とリスク軽減が期待できます。

・地理的条件と配送網
主要な配送先に近い倉庫を持つ企業を選ぶことで、配送コストの削減と配送時間の短縮が実現できます。全国配送が必要な場合は、複数の拠点を持つ企業や、他の物流企業との提携関係が充実している企業を選ぶことが重要です。

・システム対応力
自社の基幹システムとの連携可能性を確認し、在庫管理システムや受注管理システムなどとの連携がスムーズに行えるかどうかを確認します。APIの提供状況や、システム連携の実績、データの正確性なども重要な評価項目です。

・品質管理体制
ISO認証の取得状況、品質管理手順書の整備、定期的な品質監査の実施、従業員教育の充実度などを確認し、過去のトラブル事例とその対処法についても質問して問題解決能力を見極めることが大切です。

・柔軟性と拡張性
事業の成長や変化に対応できる企業かを注視しましょう。出荷量の増減や新商品の追加、イレギュラーな作業の依頼などに対する対応力を確認します。荷主の視点に立って考えられない3PL企業は、変化の激しい環境に適応できず、軋轢を生じさせ、やがては足枷にすらなる場合があります。こちらからの要望に対して真摯に向き合う姿勢があるのか、実績などと照らし合わせて入念に確認しましょう。

<最適な3PL企業を選ぶ方法>

・複数社での比較検討
複数の3PL企業から提案を受けて比較検討し、費用だけでなく、サービス内容、品質レベル、システム対応力、担当者の対応などを総合的に評価しましょう。参考になる他社の事例や実績についても確認することが重要です。

・現地視察の実施
候補となる企業の倉庫を実際に訪問し、設備や作業環境を確認することで、資料だけでは分からない実態を把握できます。倉庫の清潔さ、作業員の教育レベル、安全対策、セキュリティ体制などを直接確認しましょう。

・段階的な導入を検討
全ての業務を一度に移管するのではなく、まずは一部の商品や業務から試験導入を行いましょう。その対応結果を確認した上で、徐々に範囲を拡大していく方法が安全です。
自社にあった3PL企業の選定は、総合的な評価が必要で、自社の事業特性を理解し、将来の成長を支えてくれるパートナーを選ぶことで、物流業務の効率化と品質向上が実現できます。時間をかけて慎重に選定し、選定後も継続的な関係構築を心がけることが成功の鍵となります。

業務委託してみたものの、コストが嵩んで効果が見えない、物流サービスの品質が物足りないなど、もしくは色々手は尽くしたがしっくりこない、相手との反りが合わないと感じる場合は、思い切って他の3PL企業に業務の一部を再委託してみるのも有効です。

【まとめ】

3PL企業は単なる物流委託先ではなく、共に成長するビジネスパートナーと捉えることは両社の関係性を劇的に改善させます。荷主側からの要望を3PL企業に依頼するといった一方通行的な関係性では、短期的には上手くいくこともあるかもしれませんが、長期的にみたら健全な発展には限りがあるように思えます。であれば、長期的なビジョンの共有及び継続的なコミュニケーションを通じ、両社でWIN-WINの関係性の維持出来るように務めることが最善です。
物流は御社にとっての社会インフラの一部とも捉えることが出来ます。無くすことの出来ない機能です。会社の発展に寄与できるよう、長期的な視点で管理維持して行くことが重要です。

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